2019年11月x日。
とあるミッションが協議会によせられた。
「蓬莱島をリサーチせよ」
蓬莱島は、九十九湾の中にあり、周囲およそ100メートルの凝灰岩峰。全島常緑広葉樹におおわれており、島の頂上に祠(ほこら)があり、鶴落神社と言われ、別名鶴落島と言われている場所。祠のまわりはアカマツ、そのほか全体的にはスダジイが多く、その他多くが常緑樹でおおわれている九十九湾のシンボルマーク。
以前は、祭りなどで島まで船で神輿を渡し、頂上までお参りにきていたようだが、最近では登頂することもなく、ここ数年は地元の方は誰も島の中の様子は分からない状況。
そんな状況下で集められた探検隊。ガイド1名、船長1名、調査員5名の計7名で遂行された蓬莱島ミッション。集合は、来春オープン予定のイカの駅前。
「この施設はなんなの」
「隊長、これはイカの駅と呼ばれる観光施設らしいですよ、来春オープンでだいぶできてきてますね。結構大きいですね。ここにレストランとか物販とかマリン拠点施設とかできるらしいですよ」
「ですよね、ガイドさん」
「そう、いよいよ来春だよ、そして横に見えるのが遊覧船。海中も見れるんだよ。九十九湾に生息する魚、ぜひ来年見に来るといいよ」
「あっ、見えてきた。あれが蓬莱島ですよね」
いよいよ、まちに待った蓬莱島に上陸。
「ロープは縛れるし、船は島につけれるな」
船長のかろやかなハンドルさばきで蓬莱島に到着。
「結構下のスペースはひろいですね」
「秋冬の時期は潮が引きゆったりと歩くスペースもあるんだよ。時期によっては枝をつたいながら蓬莱島を一周することもできるよ」
「へぇ~、ぜひ夏に一周してみたいです。ところで、上に登れるところはどこだろう」
「あった、1カ所あった」
「登れるかどうか分からないからロープもっていった方がいいよ」ガイドさんが親切にロープを差し出した。
「結構急ね~、誰か、まずは転がり落ちないか見てきて」
と隊長があたりを見渡す。
「はいっ、特攻部隊いきます!!」
階段らしきものは確認、石段はあるが、コケや枯葉で覆われている。
でも、てっぺんとりたい、頂上にいきたい。
「何とか上までいけそうです。皆さんもどうぞ」
一歩、そして一歩。ゆっくり確実に。
「たいちょーう、がんばってください」
隊長も慎重にあがってきた
「あっ、隊長見えてきました、祠らしきもの」
「こっ、これが鶴落神社」
「数年間そのままだったけど、木々が守ってくれているのか、全く古くなった感じがしない」
くるりと、ひとまわり。
「なんだ、この相合傘は」
いくつもの落書き。相合傘が数本。
「縁結びの神様がまつられているから、パワースポットだからという理由で、書いたのかも。だけど、そんな祠に書いたらご利益もあったもんじゃないよ」
確かここは女性の神様、そんなことしたら嫉妬されるに違いない。
「隊長、うえを~」
いくつもの鳥の巣が。野鳥が住む環境としては最高かも。
「そろそろ降りるわよ」
「たいちょーう。待ってください」
また、険しい急な道を降りていく。
「隊長もどってきました」
下に戻ってきて目に入ってきたのは九十九湾。
とても素敵な景色。時期によっては海越しに立山連峰を見ることができるんだそう。
「なんて心落ち着くんだろう」
今まで数々の詩人や作家、著名人が九十九湾を訪れ、どれだけの人が蓬莱島を見て癒されてきたことか。こういう場所がパワースポットなんだろうな。
蓬莱島を後にイカの駅へ。
そして、物語は終わる。
「隊長、まだ終わんないですよ」
来春から新たなストーリーが始まるイカの駅、そこから蓬莱島の新たな物語も動き出す。